監督:原 義和

  「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となる」…戦後40年の1985年にドイツのワイツゼッカー元大統領が連邦議会で行った演説の言葉です。未来を開く確かな鍵は、歴史に学び続ける現在進行形のプロセスでこそ見出されるものだと思います。
  本作は決して“大作”ではありません。しかし、私なりの地道な挑戦の一つの結実です。「戦後80年」に新作ドキュメンタリー映画を放つ意味は決して小さくありません。どうか、日本が行なった戦争、戦後の歩み、父親たちの知られざる実態を受けとめ、共に考えるきっかけとして本作をご覧いただければ幸いです。
  本作は、1937年の盧溝橋事件で本格化した日中戦争が主な舞台です。3人の日本兵と、やがて徴兵されていく1人の沖縄人の日記を朗読しながら、戦場の実態をひも解いていく‥いわば“朗読劇”です。4人は名もない一兵卒。彼らの戦場での道行きを、日記と共にたどります。
  彼らは、国策によって豹変させられ、加害者にさせられた被害者でもあります。映画は彼らの罪を問うものではなく、日記が無言で告発している日本国家の罪責を問うものです。あるいは国家の加害性を検証するためのものです。検証するに値する重大な問いを日記は投げかけていると思います。
 
個人note
  原 義和/Yoshikazu Hara|note 

● 監督プロフィール 
1969年 愛知県名古屋市生まれ 
2005年より 沖縄を生活拠点に ドキュメンタリー番組の企画制作を行う 
主な制作番組:「戦場のうた~元“慰安婦”の胸痛む現実と歴史」(2013年琉球放/2014年日本民放連テレビ報道番組最優秀賞),「Born Again~画家 正子・R・サマーズの人生」 (2016年琉球放送/第54回ギャラクシー賞優秀賞),「消された精神障害者(2018年Eテレ ハートネットTV/貧困ジャーナリズム賞2018)など 
2021年に映画「夜明け前のうた~消された沖縄の障害者」を劇場公開 
著書「消された精神障害者ー私宅監置された無名の犠牲者たちの生きた証しを伝える」(高文研), 編書「沖縄からアメリカ 自由を求めて! 画家 正子・R・サマーズの生涯」(高文研)